第8回研究例会 大浦文雄氏講演「福博村75年の歩み-DVDの周辺-」開催報告
quinta-feira, 27 de maio de 2010

去る5月13日、大浦文雄氏をお招きし、第八回研究例会「福博村75年の歩み-DVDの周辺-」が文協小会議室にて開催されました。

お話に先立ち、ごく最近制作が完了したDVD「スザノ福博村 75年のあゆみ 1931~2006(全3巻)」の一部(約30分)が上映されました。

その後、大浦氏自身によりそのDVDの背景の事情がお話しされます。戦後、福博村では勝ち負けの騒動はなかったものの、帰国することを考えていた一世たちは今後のことで途方に暮れてしまいます。そこで出てくるのが、大浦氏を含むいわゆる準2世たちでした。彼らは、もう日本には帰らないのだから「ブラジルに立派な故郷を作ろう」と考えます。まず、そのためには、自分たちの村がどんな村なのか知らなければならないと考え、48年、実態調査を実施します。ブラジル日本移民50周年の10年前のことです。



また、子供への外国語教育が禁止されていた中にあって、日本語学校を再開すべく、警察署長のところへ直談判に行きます。署長は「私は何も聞かなかったことにする」と、実質黙認の態度を取ります。そこで、戦後のごく早い時期から日本語学校が再開することになります。もともと、日本語教育の目的は日本へ帰るときのことを考えた上でのものでしたが、この度はそうではなく、日本語の教育が生活を豊かにすることにつながる、という一歩進んだ考えに基づくものでした。



また、村が時代と共に向上して行き、子供たちが町の学校へ出るようになると、村が衰退していくと言う危機が感じられるようになります。その時、農村は農村として発展させていくことが必要だ、という認識の下に会館の建設案が浮かびます。町から離れた山の中に立派な会館を建設するという一般常識を外れた行動が様々な反響を呼びます。



このような福博村が辿った日々の一部が、その中心にいた大浦氏自身により、熱っぽく語られ、その後に行われた懇親会を含め大変好評な会となりました。


サンパウロ人文科学研究所 Centro de Estudos Nipo-Brasileiros