2015年度通常総会のご報告
sexta-feira, 17 de julho de 2015

2015年度通常総会が3月25日、当研究所にて開催されました。総会の席上、2014年度事業報告および2015年度事業計画案が発表されましたので、ここでご紹介いたします。

2014年度事業報告書

1. 組織上の変更に関する決定
 過去数年、活動を継続するうえでOSCIP(公益民間団体)の認定を受けることのメリットなどが審議されてきた。本年度においてその実現性が継続審議され、その結果、かかる費用やそれに伴う労力に比較しメリットが少ないという結論に至った。そこで、当面OSCIPの認定を受けることは断念し、Lei Rouanetなどの研究助成金を受けることを会の方針とすることが確認された。

2. 日本支部
 日本支部は4月4日、東京法務局にて登記が完了し、「特定非営利活動法人サンパウロ人文科学研究所日本支部」として正式な活動を始めた。
 11月2日にはお披露目の講演会および親睦会が明治大学紫紺館にて開催された。講演のテーマは「移民知識人の遺産と未来:土曜会から人文研へ、そしてデジタル人文学へ」というもので、当研究所の研究生でもあった佐々木剛二氏(東京大学大学院総合文化研究科・学術研究員/森記念財団都市戦略研究所研究員)によって行われた。当日は人文研ゆかりの研究者に加え、ブラジル日本移民に関心を有する50名以上の参加があり、質疑応答、懇親会を通じてブラジル日本移民に関する活発な意見交換がなされた。

3. 若手研究者養成のための奨学制度
 今期、2名の奨学生たちが当研究所指導教官の下、研究を行った。4月より指導が開始され、勤勉な研究活動がなされている。奨学生と研究テーマは以下の通り;

 バルバラ・アパレシーダ・アルベス・フェヘイラ・デ・カルバーリョ・ピナ(USP歴史科)
 “Relação entre Portugal e Japão nos séculos XVI e XVII e o impacto gerado na cultura e sociedade japonesa”(「16,17世紀における日葡関係史」)
 ペドロ・シュライバー・モッタ・マルチンス・デ・バッホス(USP哲学科)
 (“もののあわれ”について)

 予定されていた2012年度奨学生たちの報告書は、編集作業の遅れにより刊行が叶わなかった。
 現在この制度はサンヨー牧場、高岡マルセーロ氏、宮坂国人財団、山本勝造財団からの支援により運営されている。

4. 古本市の開催
 当会活動資金獲得のため、11月23日(日)古本市を文協1階14号室にて開催した。理事、職員、そしてボランティアたちが集まり午前9時より午後1時までと短い時間であり、また出品数もそれほど多くない中で純利益約3千6百レアルの売り上げを出すことができた。

5. 企画・イベント
 本年度開催された各種イベントは以下の通り。

1.  研究例会
2月「昭和新聞と川畑三郎-“勝ち組の頭脳”に目された人物-」
前山隆氏(元当研究所専任研究員、元静岡大学教授)
7月「アルゼンチン一世の文学活動―増山朗の『グアラニーの森の物語』を中心に」
細川周平氏(国際日本文化研究センター教授)

2. コロニア今昔物語
8月「ユバ・バレエと私―ブラジルに渡って50年―」
小原明子氏(舞踏家)
11月「ブラジルにおける和食の動向」
高橋ジョー氏(道クルツラル代表)

3. 勉強会
1月「ブラジル日本移民に見る着物と日本のアイデンティティ:伝統と今」
佐竹プリシーラ氏(奨学生)
2月「教育・コミュニティ研究と日本移民に関して」
山本晃輔氏(大阪大学特任助教、日本支部理事)
3月「戦前期アリアンサ移住地経営の理想と現実」
名村優子氏(立教大学大学院、日本支部理事)
5月「インターネット・ラジオ『ブラジル日和』をやってみて」
大久保純子、砂古純子両氏(「ブラジル日和」主宰者)
7月「東山農場ガイド」 深沢雅子氏(東山農場見学部・日本語ガイド)
8月「トランスナショナルな繋がりの歴史社会学―日本移民およびニッケイの100年」  柴田寛之氏(ニューヨーク市立大学大学院博士課程)
10月「東ティモールの言語状況―ポルトガル語の公用語採択過程を中心に―」
林未来氏(上智大学大学院博士前期課程修了)
12月「花嫁移民」  高山儀子氏(当会理事)

6. 資料の分類・整理
 今年度下記の方々の遺族より図書の寄贈があった。
 • 伊藤直氏(農業、セラード開発関係者、南銀役員)
 • 山里アウグスト氏(宗教家、作家)
 • 高野芳久氏(自動車販売、作家)

 3月、学習院大学より青木祐一氏(アーカイブス学専門)が当研究所を訪問し、ここで保管されている資料(図書以外のもの、手書き文書、各種団体の会報、パンフレット等)を概観した後、一次資料の要領を作成するに至った。その折り、一次資料だけで総計220箱(総点数はいまだに不明)の存在が確認された。
 11月には長尾直洋氏(東洋大学客員研究員)が来訪し、2013年に行われた音源資料のデジタルデータをすべてCD化した。これにより、1970年代に人文研にて行なわれた講演会などがすべてより容易に調査され得るものとなった。


2015年度事業計画書

1. 創立50周年記念事業
 1965年3月に創立した当団体は今年で50周年を迎える。半世紀の歩みを振り返り、また今後果たす役割をも視野に入れ、記念事業を計画している。

1. ブラジル社会における日系コミュニティの活動状況と存在の影響調査
過去の調査からはすでに類推できない現在のブラジルにおける進化・変容した「日系」およびそのコミュニティの実態をフィールドワークから明らかにすることを目的としている。多文化社会の先進的現場としてのブラジルに存在する日系コミュニティがどのような活動を行っているか、地域社会においてどんな役割や影響を及ぼしているか、どんな存在感を示しているかを実地調査する。その延長線から地域の日系人の推定数、分布や混血の割合などの実態にも近づき、「日系」の定義、アイデンティティにもせまる。

2. 人文研50年史・年表の刊行
過去50年に亘る歩みを振り返り、人文研がこれまでめざしてきたもの、そしてそれを達成するために行なってきた事業などを再考することを目的として、ポルトガル語による年史、日本語による年表の作成を夫々計画している。

3. 専任研究員制の創設
当研究所の念願である専任研究員の育成をめざし、当所研究ジャンルのいずれかを調査対象とする研究者に対し、その調査・研究の便宜を図るとともに、一定額の生活保障を行なうものである。ブラジル側として当研究所奨学生制度の第一、二期生であった吉田ラファエル満氏が4月より就任することが内定している。その他日本側より一人の枠を予定している。

2. 若手研究者養成のための奨学生制度の継続
今期は前期よりの奨学生2名が研究活動を継続することが決定された。
 バルバラ・アパレシーダ・アルベス・フェヘイラ・デ・カルバーリョ・ピナ(USP歴史科)
“Relação entre Portugal e Japão nos séculos XVI e XVII e o impacto gerado na cultura e sociedade japonesa”(「16,17世紀における日葡関係史」)
 ペドロ・シュライバー・モッタ・マルチンス・デ・バッホス(USP哲学科)
(“もののあわれ”について)

3. 日本支部の活動
 NPOとして新たな出発をした日本支部は、研究会の開催、また本部への研究者派遣などの活動に従事することが計画されている。

4. 客員研究員・研究生の受入れ 
 随時、外部よりの研究者を受入れ、研究活動の支援を行なっていく。

5. 出版事業
 本年度、出版が計画されているものは次の通り。
 • 第2期および第3期奨学生期末論文集

6. 資・史料収集と整理
 2014年度中、様々な方や団体より図書の寄贈を頂いた。本年度、その整理作業が行われる。また、定期・逐次刊行物の登録作業が開始され、既にポルトガル語のものが完成されており、その他言語に関しても今年度中に完了する予定である。

7. 企画・イベント
本年度も当所主催による下記の発表会を随時実施する。

1) 研究例会
 研究者によるアカデミックな研究や調査の成果を一般に発表する趣旨による。第一回として、大阪大学招聘教授松岡秀明氏による「窓としての短歌-ブラジル移民の『われ』とその表現」が3月12日に開催された。

2) 今昔物語
 従来あまり採りあげてこなかった分野における移民の営為を発掘して発表するもの。本年第一回がすでに開催された。(2月5日、細川多美子氏「サンバ、カーニバル、エスコーラ・デ・サンバってなに?」)

3) 勉強会
 若手研究生の研究テーマを中心に非公開で討論を行う趣旨による。本年第一回は2月26日に開かれた。(ペドロ・シュライバー氏「もののあはれ―『源氏物語玉の小櫛』に本居宣長が見い出す物語文学の本質」)

8. 公式ウェブサイト
 当研究所のウェブサイトが開設されてから8年が経過し、広報活動において大きな役割を果たして来た。とはいえ、インターネットの世界も時代と共に急激な変化を遂げており、昨今ウェブサイトのみの広報による限界もとみに感じられて来た。そういう事情より今年度初めにソーシャルネットワークの中でも広く活用されているFacebookページが新たに作成され活用され始めている。今後、公式サイトに加え、こちらのページより日常業務中の小さな動きを伝えていくことが考えられている。


サンパウロ人文科学研究所 Centro de Estudos Nipo-Brasileiros